着物や羽織をほどいたときに出てくる、薄くて美しい裏地。
「きれいな生地だから捨てるのはもったいないけれど、薄いし、何にリメイクしたらいいのかわからない」と思ったことはありませんか?
私も以前から、着物をほどいたときに出てくる裏地を大切にしまっていました。
今回使ったのは、20年以上前にほどいて、そのまま大切に保管していた羽裏や着物用コートの裏地です。
薄くて柔らかな生地なので、接着芯を貼り、さらに綿ローンの内袋を付けて、スモック風の巾着袋にリメイクしてみました。
実際に作ってみると、薄い生地でも適度な張りが出て、内袋を付けることでしっかりした巾着袋に仕上がりました。
しかも、和風の落ち着いた花柄と紺色の生地を組み合わせたものは、思っていた以上に大人かわいい雰囲気になりました。
もう一つはピンク色の暖簾のようなデザインの生地に、ラベンダー色のドット柄を合わせています。
今回は、そんな着物の羽裏をスモック型巾着袋にリメイクした様子をご紹介します。
着物の羽裏ってどんな生地?
「羽裏(はうら)」とは、羽織の裏側に使われている生地のことです。
羽織を表から見ると、落ち着いた色やシンプルな柄なのに、内側をのぞくと驚くほど鮮やかで凝った柄が使われていることがあります。
特に昔の男性用の羽織では、表地よりも裏地のほうが華やかだったり、絵画のような意匠が描かれていたりするものもあります。
表からは見えないところにこだわる、昔の日本ならではのおしゃれですね。
羽裏には「裏勝り」という美意識も
昔の日本では、身分や時代によって衣服の色や素材、装飾などを制限する奢侈禁止令(しゃしきんしれい)が出されることがありました。
そこで、表から見える部分は控えめにしながら、見えない裏側にこだわるというおしゃれが生まれたといわれています。
こうした、表よりも裏側に趣向を凝らす美意識は「裏勝り(うらまさり)」と呼ばれました。
羽織を脱いだときや、歩いたときに裾がひらりとめくれたときだけ見える裏地。
そこに好きな柄や趣味を忍ばせるというのは、なんとも粋ですよね。
龍や虎などの縁起物、歌舞伎に関係する柄、風景や異国の景色など、さまざまな意匠が羽裏に描かれることもあったそうです。
表は控えめだけれど、裏側には自分らしいこだわりを持つ。
そんな昔の人の遊び心を感じられるところも、古い着物や羽裏の魅力だと思います。
今回リメイクした羽裏の生地
今回スモック型巾着袋に使ったのは、女性用の羽裏、または着物用のコートの裏地だったと思われる生地です。
どちらも20年以上前にほどいたもので、長い間しまっていました。
一つは絹だとわかっていますが、もう一つは絹なのかポリエステルなのか、素材がはっきりわかりません。
どちらも薄くて柔らかな生地でした。
「せっかくのきれいな生地なので、何か日常で使えるものにできないかな」と考え、今回は巾着袋にリメイクすることにしました。
薄くて柔らかな羽裏には接着芯を使いました
羽裏はとても薄く、柔らかな生地です。
そのまま巾着袋にすると、少し頼りない感じになるため、今回は接着芯を使いました。
生地によって、超薄手と薄手の2種類を使い分けています。
絹の生地には超薄手の接着芯を、もう一つの生地には薄手の接着芯を貼りました。
どちらも生地の風合いを損なうことなく、ほどよい張りが出ました。
実際に2種類を使って作ってみたところ、絹の羽裏にも薄手の接着芯を使ってもよかったかなと思いました。
薄手の接着芯を貼ったほうは、適度な張りができて、巾着袋として扱いやすい生地になりました。
ただし、古い着物の生地は素材や状態がそれぞれ違います。
接着芯を貼るときは、いきなり本番の生地に貼らず、端切れなどで試してから使うと安心です。
羽裏の薄い生地には内袋を付けました
今回の巾着袋には、内袋を付けています。
内袋には綿ローンを使いました。
綿ローンは、細い糸で密に織られた薄手でしっかりした生地です。
薄い羽裏に合わせても厚くなりすぎず、巾着袋の内袋として使いやすい生地です。
「内袋を付けるのは難しそう」「一枚仕立てよりもずっと手間がかかりそう」と思うかもしれません。
私も最初はそう思っていました。
ところが、実際に作ってみると内袋を付ける工程は思っていたほど難しくありませんでした。
しかも、内袋を付けることで薄くて柔らかな羽裏をしっかり支えてくれます。
お気に入りの羽裏を巾着袋として長く使いたい場合には、内袋を付ける方法がおすすめです。
今回使った材料
今回のスモック型巾着袋には、次のような材料を使いました。
- 着物の羽裏または着物用コートの裏地
- 接着芯(超薄手・薄手)
- 内袋用の綿ローン
- 袖部分に使う生地
- ひも通し口に使う生地
- 江戸ひも
使う生地は、必ずしも今回と同じでなくても大丈夫です。
手持ちの着物地や端切れを組み合わせて、自分だけのスモック型巾着袋にするのも楽しいと思います。
絹の花柄羽裏には祖父の着物の裏地を合わせました
一つ目の巾着袋に使ったのは、絹の花柄の生地です。
この生地の袖部分とひも通し口には、祖父の着物の裏に使われていた絹を使いました。
こうしてみると、何十年も前に使われていた生地が、別の形になって一つの作品の中で再び出会うことになります。
古い着物や羽裏をリメイクすると、こうした「生地の思い出」まで一緒に残せるところがいいですね。
和風の花柄に紺色の生地を合わせて大人かわいく
和風で落ち着いた花柄の羽裏に、紺色の生地を合わせました。
最初は、紺色の袖とひも通し口を合わせたら、スモック型のかわいらしいデザインと合わないのではないかと少し心配でした。
ところが、実際に仕上げてみると、心配していたよりずっとしっくりきました。
落ち着いた花柄に紺色がアクセントになり、かわいらしさがありながらも子どもっぽくなりすぎません。
大人が持ってもかわいい「大人かわいい巾着袋」になりました。
化粧道具などを入れて持ち歩いてもよさそうです。
ピンク色の羽裏にはラベンダー色のドット柄を合わせました
もう一つは、ピンク色の暖簾のようなデザインの生地です。
こちらには袖部分とひも通し口に、ラベンダー色のドット柄のシーチングを合わせました。
ピンクとラベンダーの組み合わせが、スモック型のデザインによく合いました。
こちらもかわいらしさはありますが、色合いが落ち着いているので、大人が持っても楽しめる雰囲気になりました。
着物の生地は和風のイメージが強いですが、合わせる生地の色や柄によって、ずいぶん印象が変わります。
「この生地には何色を合わせようかな?」と考える時間も、リメイクの楽しみの一つですね。
紐には羽裏に合う江戸ひもを使いました
巾着袋の紐には、羽裏の雰囲気に合わせて江戸ひもを使いました。
江戸ひもを合わせることで、着物の生地が持っている和の雰囲気を残しながら、スモック型巾着袋としてまとまりのあるデザインになりました。
巾着袋は紐がよく目に入るので、生地だけでなく、紐の色や種類にもこだわると仕上がりの印象が変わります。
着物の羽裏をスモック型巾着袋にリメイクする作り方
ここからは、今回作ったスモック型巾着袋の作り方です。
基本的には、羽裏の生地に接着芯を貼り、必要なパーツを裁断して、袖やひも通し口を付けていきます。
さらに内袋を作り、表袋と合わせて仕立てます。
薄い羽裏を使う場合は、最初に接着芯を貼っておくことで、裁断や縫製もしやすくなります。
1.羽裏に接着芯を貼る
羽裏の生地の状態を確認し、生地に合った厚さの接着芯を選びます。
今回は超薄手と薄手の2種類を使いました。
接着芯を貼るときは、アイロンの温度や時間などを接着芯の説明に従ってください。
古い着物地の場合は、生地が弱くなっていることもあるため、端切れで試してから本番に使うと安心です。
2.必要なパーツを裁断する
羽裏、袖部分、ひも通し口、内袋など、必要なパーツを裁断します。
羽裏のように柄が特徴的な生地を使う場合は、裁断前にどの柄を巾着袋のどの位置に出したいかを考えておくと、仕上がりがきれいです。
3.袖部分を作る
スモック型巾着袋らしい形になるように、袖部分を作ります。
今回は、絹の花柄の巾着には祖父の着物の裏地だった絹を、ピンク色の巾着にはシーチングを使いました。
4.ひも通し口を作る
巾着袋の上部にひも通し口を作ります。
ここも袖部分と同じように、表地との組み合わせを考えて生地を選びました。
5.内袋を作る
内袋には綿ローンを使いました。
表袋と同じように必要な部分を縫い合わせて内袋を作ります。
「内袋を付けるのは難しそう」と思うかもしれませんが、実際に作ってみると意外と簡単です。
そして、内袋を付けることで、薄い羽裏でも巾着袋として使いやすくなります。
6.表袋と内袋を合わせる
表袋と内袋を合わせ、袋口の部分を整えます。
ここまでくると、だんだんスモック型巾着袋らしい形になってきます。
7.江戸ひもを通す
最後にひも通し口に江戸ひもを通します。
羽裏の柄や袖部分の色に合わせて紐を選ぶと、全体がまとまりやすくなります。
内袋付きの巾着袋の作り方は動画でも紹介しています
文章で読むと、「ここはどうやって縫うの?」と思うところがあるかもしれません。
特に内袋を付ける工程は、実際の布の動きを見たほうがわかりやすいと思います。
そこで、今回のスモック型巾着袋の作り方をYouTubeでも詳しく紹介しています。
薄い生地をどのように扱っているのか、内袋をどのように付けているのかなど、実際の作業の様子をご覧いただけます。
文章だけではわかりにくい部分は、ぜひ動画と合わせてご覧ください。
作ってみて感じたこと
今回、20年以上前にほどいた羽裏を久しぶりに取り出して、巾着袋にリメイクしました。
長い間しまっていた生地なので、また使うことができたのが何よりうれしかったです。
特に印象に残ったのは、薄くて柔らかな羽裏でも、接着芯を貼り、内袋を付けることで、普段使いできる巾着袋になったことです。
最初は「薄い生地だから巾着袋にするのは難しいかな」と思っていました。
でも、ちょっとした工夫をすることで、思っていたより扱いやすくなりました。
また、生地の組み合わせも実際に作ってみるまで少し不安でした。
和風の花柄に紺色の生地を合わせたらどうなるのか、ピンク色の羽裏にラベンダー色のドット柄を合わせたらどうなるのか。
どちらも実際に仕上げてみると、思っていた以上に大人かわいい雰囲気になりました。
昔の裏地だった生地が、日常使いの巾着袋によみがえりました
着物の裏側に使われていた羽裏は、着物を着るときにはほとんど人の目に触れない生地です。
でも、こうして巾着袋にリメイクすると、今度はその美しい柄が表側になって、毎日の暮らしの中で楽しめます。
20年以上しまっていた生地が、もう一度使えるものになったことがとてもうれしいです。
古い着物や羽織をほどいたときに出てきた裏地を、「薄いから使いにくい」としまい込んでいる方もいるかもしれません。
そんなときは、接着芯を使ったり、内袋を付けたりして、巾着袋などにリメイクしてみてはいかがでしょうか。
昔の人がこだわって作った美しい生地を、今度は私たちが日常の中で楽しむ。
それも着物リメイクの素敵な楽しみ方の一つだと思います。
まとめ
今回は、20年以上前にほどいた着物の羽裏やコートの裏地を使って、スモック型巾着袋にリメイクしました。
今回のポイントをまとめると、次のようになります。
- 薄くて柔らかな羽裏には接着芯を使う
- 生地の厚さや風合いに合わせて接着芯を選ぶ
- 内袋を付けることで薄い生地でも丈夫に仕上げやすい
- 袖やひも通し口の生地で雰囲気を変えられる
- 江戸ひもを合わせると和の雰囲気を楽しめる
- 古い着物の裏地も、日常使いできる小物によみがえらせることができる
「昔の着物だから、今使うにはちょっと古いかな」と思っていた生地も、合わせる生地や形を工夫すると、意外と今の暮らしに似合うものになります。
眠っていた羽裏が、今度は表側で美しい柄を見せながら活躍してくれる。
そんな着物リメイクならではの楽しさを感じられるスモック型巾着袋になりました。




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